忠臣蔵―その成立と展開 (1964年) (岩波新書)

昨日、東京高輪の泉岳寺を訪ねました。お墓や吉良の首を洗ったという井戸、「赤穂義士記念館」も拝観しました。そういえばと思い自宅に戻って本書を再読。１９６４年の出版で古くはありますが、「赤穂事件」の論点整理がシッカリされています。事件後４７年目に「仮名手本忠臣蔵」が上演され以後、様々な脚色や解釈が加えられたこと。時の明治政府や天皇により「忠誠・忠義」のイデオロギーの史実として利用されたこと。本書の126ページにわたる城中での端緒から寺坂吉右衛門の死まで整然と執筆されています。これだけで、あらすじは十分なんですが、なにかもの足りません。その後「忠臣蔵」へと史実をベースに展開していく、読み物の影響が大きいのでしょう。赤穂事件を史実として捉えたい人には、オススメです。