無料ダウンロード扇のなかの中世都市 (大阪大学総合学術博物館叢書) pdf
扇のなかの中世都市 (大阪大学総合学術博物館叢書)
strong>本, 泉 万里
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によって 泉 万里
4.7 5つ星のうち1 人の読者
ファイル名 : 扇のなかの中世都市-大阪大学総合学術博物館叢書.pdf
ファイルサイズ : 19.78 MB
内容(「BOOK」データベースより)この本は、扇のなかの世界へご案内するものです。それは、一六世紀の京都とその周辺をめぐる小さな旅のようなものです。「月次風俗図扇面流し屏風」と、この本を手にとって下さった方との出会いが、豊かなものとなることを願いつつ、二四点の扇絵について、ゆっくりお話ししていきたいと思います。著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)泉/万里 日本中世絵画史・博士(文学)。現職、大阪大学総合学術博物館教授。1957年生まれ。1992年3月大阪大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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本書は京都にある光円寺所蔵《月次風俗図扇面流し屏風》を大型本にて紹介、解説した画集である。この作品は、お正月から六月までの年中行事や名所図を収めた六曲一隻の屏風であるが、恐らく、嘗ては七月から十二月を収めた一隻も存在し、一年間を通して描かれた一双屏風だったのではないかと言われている。即ち、対の一隻は失われてしまった訳だが、それでも尚、残された一隻だけでも私達を季節感豊かな中世都市へと誘ってくれるのには充分である。そして、その先導役を務めてくれるのが本書なのだ。本作品は、言う迄もなく実際に使用されていた扇を屏風に仕立て上げたもので、本書はその折り目に至るまで実によく再現している。然も、金地に雅な大和絵をあしらった扇面図は実に優美であり、屏風と言うよりも寧ろ、これが日常の小道具であった扇に描かれていたと言う事に驚きを覚えてしまうのは私だけではなかろう。例えば、第一面、宮中の正月行事を題材にした《小朝拝図》は、束帯姿の貴族達が天皇への拝謁の為に順番で進み出る様子が描かれており、その全体図からは厳粛な空気が漂って来るし、或いは、第十二図《六角魚棚図》では豊かな食材に興味を惹かれる共に、通りを往来する庶民達の喧騒が聞こえて来そうでもある。その他、祇園祭の山鉾巡行、賀茂祭の車争い、深草祭の騎馬武者行列など等、どの題材も興味を惹かれるものばかりで、観ているだけでも飽きない。絵画作品としての魅力も然る事ながら、古来の伝統的な年中行事、或いは風俗史等に関心がある方達をも満足させてくれる内容である事は間違いないと思う。もともとが扇面という極めて限られた材料に描かれたものである事から、大掛かりな工夫や大胆な表現は見られないものの、その分、焦点を絞った題材を無駄の無い構図で表したと言う面白さもあり、コンパクトな中世都市を垣間見る事が出来るのではなかろうか。因みに、後半の解説も非常に親切だ。絵画そのものの説明に留まらず、年中行事の歴史や当時の風習等にもしっかり言及しているので大変参考になる。一般の美術書でも、扇面図屏風を中心に扱ったものには中々お目に掛かれないので、それだけでも本書の価値は非常に高いと感じられた。但し、非常に惜しまれるのが、後半の図版が全て白黒だと言う事である。取り分け、後半では拡大図、詳細図を掲載している為に、この部分も出来ればカラー図版にして頂きたかった。編集や価格の都合上、やむを得ないのかもしれないが、上記に述べた通り、扇面図屏風に関する画集自体が極めて貴重だとも言えるので、思い切って全図カラー版で出版して欲しかったようにも思われ、その点だけが残念でならない。尤も、その分、大型本にて欠点を補っていると言う見方もあるかもしれない。白黒とは言え、これだけ拡大すれば詳細を見るには充分とも言えるであろうし、何よりも屏風として、扇として、日常生活に根付いた「道具」の中に描かれた中世都市を思う存分楽しませてくれる事は間違いないので、興味のある方は是非とも手に取って頂きたいと思う。
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